特別支援学校の職業教育~大阪府立たまがわ高等支援学校(大阪府)~
どの様に生まれようが、どんな状況におかれようが、社会の一員として自らを確認し生きる意味を見出すためには、出来うる限り「雇用」を進めていかなくてはならないと思う。その入り口の1つは障がい者の雇用政策であり、僕のライフワークでもあります。
さて今回は、特別支援学校の視察に行きました。雇用に繋げていくためには、教育機関との連携が不可欠なのです。今回は、大阪府立たまがわ高等支援学校(平成18年4月1日開校)です。
この学校は、知的障がいのある生徒の高等部だけの学校であり、3年間で社会で働く力を身につけることを目的としています。玄関を入ると、まず驚かされるのはタイムレコーダーがあることです。教師の玄関ではないので、誰が使うのかと思えば、生徒が使っていると言うのです。社会で働く基本は「何よりも、時間をしっかり守ること」ここから全てが始まると原田哲次校長先生は語っていました。最初は遅刻する生徒が多かったそうですが、今では遅刻する生徒はわずかになっているそうです。
(生徒用のタイムレコーダー)
生徒は比較的軽い知的障がいのある子供を対象としており、3つの専門学科を設置しています。福祉・園芸科(福祉分野・園芸分野)、ものづくり科(産業基礎分野・食品生産分野)、流通サービス科(バックヤードサービス分野・オフィスサービス分野)です。専門学科の実技のため、校内には各種の施設が整備されています。
ジャムやクッキー・家具や置物を作る実習室、飲食店・流通施設のバックヤード、ハウスクリーニングの実習等、正しく実践訓練の場がそこに存在しているのです。課題として残っているのは、施設における実習室の運営コストが、ことの他高いという点です。多量につくる、多量にこなす、多量ゆえにコストがかかるということです。そのための予算が、教育予算として充分考えられていないということです。
生徒たちは実習の後に、企業に実際の研修に出向くことになります。学校サイドと企業との連携が上手くいっていないと、受け入れ環境を作ることができません。昨年度は、教員が379社の企業を戸別訪問し、37社の研修先を見つけています。今年度は400社訪問し、40社の内諾を得ているそうです。教員が単純に科目や実技を教えるだけでなく、企業との関係を築き、正しく人材の営業マンとして活動するこがもとめられているのです。教員が単に教えるということだけでなく、社会との接点となり、実社会に障がい者を導くための努力がなされているということです。学校とは施設だけでなく、やはり人なのですね。
卒業生が、職場を探す時に、こうして研修の受け入れに協力してもらえた企業に、まずはトライアルででも雇用してもらえればいいのですが・・・、原田校長は言っていました。卒業時に就職先を見つけることが出来なかった生徒に対し、卒業後にどのようにサポートをかけていくか、また就職した生徒に対してもフォローアップをどうしたらよいか、課題は付きません。しかし、走りながら考え、考えながら行動する。積極的な学校なのです。
障がい者の雇用を考える時に、1人1人の特徴・特性をデータとして、企業等の職場に提供できる体制をとることが、雇用の確保につながることになると思う。個人情報保護との関係をしっかりさせることは、当然、必要なことですが。本気で、労働・福祉行政が、学校が、企業が、地域が、そして何よりも政治家が、障がい者の雇用政策に取り組むことが必要なのです。
