障がいがあっても働ける社会
1.障がい者雇用の取り巻く環境
日本において、障がい者が当たり前のように働ける環境整備が遅れている。障がいには、大きく分ければ3種類あり、身体障がい、知的障がい、精神障がい、それぞれに対応した、働く環境整備を早急に行う必要があると思う。特に精神障がいについては、雇用義務の対象ではないこともあり、雇用にいたる環境は特に不十分な状況にある。バリアフリー、ユニバーサルデザイン、ノーマライゼーションなど言葉が先行し、またハードの整備が先行しがちな状況下で、人間にとしての尊厳を保ち、社会に貢献し、社会の一員たる思いを持って帰属していくためには、「働く」ということが不可欠だと考える。重度の障がいを持ち「働く」ことが実質的に出来ない場合もあり、それは福祉という側面からのアプローチが当然必要である。障がい者雇用促進法によって、障がい者の積極的な雇用を促し、障がい者自立支援法によって、自立のための就労のサポートが確立されようとしている。しかし、まだまだ始まったばかりであり、包括的な障がい者雇用施策への充実が求められている。
2.何が問題なのであろうか
①教育の分野では
障がい児は、普通学校や特別支援学校で教育を受けている。特に、特別支援学校の場合は、幼稚部、小学部、中学部、高等部、それぞれで障がいを持ちながらも、自らの特徴を踏まえ、学校目標に従い学んでいる。しかし、高等部を卒業した生徒が、社会人としての礼儀作法が身についていない場合が多い。高等部を卒業し、社会に出て行くことが多いのにもかかわらず、社会人として「働く」心構え、準備が出来ていない。
②労働の分野では
受け皿としての企業が障がい者の雇用に対して、積極的でない。障がい者雇用率を達成できていない事業主が多いことを見ても明らかである。また、雇用率未達成事業主が、障がい者雇用納付金(労働者301人以上の場合、不足分1人につき月額5万円)を収めれば、それでよしとする考えがあり、本質的な雇用促進につながっていない。ただし、雇用率を達成すること自体が目的になってしまうと、障がい者が自立のために尊厳をもって働くという本質を忘れてしまう。また、障がい者の雇用に伴なう最低賃金の保証が足かせとなっている場合もあり、企業の採用が進まない側面もある。最低賃金適用除外制度を使い障がい者の労働に対し、最低賃金を下回る賃金で雇用することも出来るが、手続きが複雑であり、また手間がかかる等の問題もある。また、適用除外の申請は企業にとって、障がい者を「不当に働かせている」というイメージをもたれることに危惧する経営者もいる。また、企業のほとんどを占める中小零細企業にとって、雇用労働者300人以下は障害者雇用調整金の金額が少ないというハンデもある。また、就労等に向けての訓練を目的としているはずの授産所、地域作業所における障がい者への作業管理が、労働のための指示と受け止められている。
③福祉の分野では
障がい者の中には、企業で働くことが出来ない人もいる。その際の受け皿は、社会福祉法人や行政が運営する授産所や、障がい者の親によって運営委員会形式で運営する地域作業所になっている。働いている職員が、福祉的側面に傾斜しているゆえに、実業に対する思い入れが少ない。施設運営をしていくためには、企業から仕事を請け負うための営業、製造した品物を販売するための営業、新たな商売を立ち上げるための市場調査力などが不可欠と考えられる。いかに仕事に結びつけるか、いかに工賃を引き上げることが出来るか、職員にこうした視点が欠けている。残念ながら授産所や地域作業所はあくまで福祉施設であり、障がい者の働く場所ではない。特別支援学校から、あるいは地域から、福祉施設に入所した障がい者が、企業の中で就労出来るように育てていく機能が充実していない。
3.解決していくためには何が必要なのか
①教育の分野では
特別支援学校高等部における教育カリキュラムに、社会人としての見識を身につけさせる授業を増やしていく。職場によってなすべき仕事は異なるゆえ、社会人として自覚をまず持たせることが前提となる。そのためにも、学校において、企業での雇用が大切であり、そのための努力をおこなうことを障がい者にしっかりと伝えていくことが不可欠である。また福祉施設の職員を養成していく教育機関の充実が求められる。営業力、企画運営力、市場調査力など企業人が持つべき能力を有した職員を養成することが必要である。大学、専門学校を始め、福祉職員養成機関に経済・経営等の学科を充実させることが不可欠である。
②労働の分野では
最低賃金適用除外許可の申請手続きを明確かつ簡略化し、障がい者雇用に対する間接経費の引き下げを行なう。中小零細企業による雇用促進を充実させるために、障がい者雇用調整金を企業規模にかかわらず同一額支給させる。障がい者試行雇用事業から、正規雇用につなげていくためのサポートを充実させていく必要がある。なお、授産所、地域作業所における就労に向けての訓練のための作業については、その位置づけを明確にし、施設運営者が障がい者の時間管理、作業管理等を行なえるようにする。
③福祉の分野では
個々の障がい者の特性を掌握し、またデーターベース化することによって、仕事内容とのマッチングをはかり、障がい者試行雇用事業に積極的におくりだす。本来企業に雇用されうる障がい者が、障がい者自立支援法における就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の運用の中で逆に埋没しないように制度を運用する。また、現況の福祉施設職員に経営的能力を高めてもらうための研修を充実させ、その際の費用負担を積極的に補助していく。
12月 24, 2007 政策・理念 | Permalink
コメント
今日記事を掲載するならやはり「福田総裁『薬害肝炎一律救済』に向けて決断」を外してはならないのではないでしょうか。司法・行政の枠内で出来ないか最後の最後まで苦労したが、できないということになったので議員立法によって実現する、というロジックはとても奥深いもので久しぶりに三権分立ということに思いを巡らせるものでもありました。昨日社民党の福島瑞穂党首も三権分立に言及していましたが彼女は「福田首相が議員立法を指示するのは三権分立に反する」とコメントしました。彼女は福田赳夫さんが自民党総裁でもあることを見落したわけです。一方内閣は法案を提出することができます。そこを何故議員立法でいくのか、ここが奥深いように思います。
投稿 8区有権者 | 2007/12/24 17:33:11