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2017年2月23日 (木)

住宅宿泊事業法案の審議で思うこと

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「住宅宿泊事業法」この法律名を見て、所謂「民泊」に関する法律と思いつく人はそうはいないと思います。これが、今世の中を騒がせている「民泊法案」なのです。

自民党は「住宅宿泊事業法」の法案審議を自民党国土交通部会、厚生労働部会、観光調査会、IT戦略特命委員会の4部門合同会議で行っています。僕が事務局長を務めるIT特には、新たなプラットフォーム小委員会(小委員長:福田峰之)というシェアエコのプラットフォーマーを通じて、シェアエコを推進する委員会を運営しており、そうした視点から、民泊法案の議論をしています。この法案は、所謂、内閣提出法案なので関係する省庁は、国土交通省、観光庁、厚生労働省となっています。何故か、シェアリングエコノミーを包括的に担当している内閣官房IT室が関わっていないことに違和感を感じています。

今回の法案には、いくつかの課題があると思います。そもそも「民泊」という新たなビジネスモデルを従来の規制の延長線上で対応していて、シェアリングエコノミーの本質を理解していないし、新たな経済の芽をつぶすことになりかねないということです。シェアリングエコノミーはインターネットテクノロジーの進化によって、知り合いでない個人間をプラットフォーム上の相互評価(サービス提供者、サービス利用者)によって、空間や物やスキルを共有する関係をつくるビジネスモデルです。役所への提出書類ベースの信頼と常に相互評価されている信頼、どちらが消費者保護の本質なのだろうか、考えれば自ずとわかるはずです。

日本が今まで得意としてきた事前規制による消費者保護の仕組みとITテクノロジーを使った情報開示を前提とした自己責任、海外からの利用者の多い「民泊」はグローバルスタンダードであるべきです。

次は、プラットフォーマに対する規制の課題です。部屋を提供するオーナーと部屋を利用したい観光客をつなぐ情報プラットフォーマーを観光庁に登録させ、規制を入れることです。シェアリングエコノミーの基盤をなす情報プラットフォーマーを規制するなど、世界的に聞いたことがありません。観光庁が「世界初のプラットフォーマー規制」と言ってますが、あり得ないという意味でも世界初であることは間違いありません。今後、プラットフォーマを各省庁がこれまでの規制の延長で囲い込みを行う入り口をつくることになります。

法案で、観光庁がプラットフォーマーを登録・規制するのは、やってることが旅行代理店に近いという理由です。情報をつなぐにすぎないプラットフォーマと旅行代理店が同じようなものと判断することが理解に苦しみます。そもそもシェアリングエコノミーのプラットフォーマはシステムを利用する「場」の提供をしているにしかすぎません。ビジネスモデルとしては、システムを利用させる手数料で成り立つビジネスなのです。EUのシェアリングエコノミーアジェンダでも、プラットフォームは情報サービスにすぎず、価格決定権や取引条件決定権、取引資産の所有権を保有していない場合は、プラットフォーマを規制の対象としないとなっています。

内閣官房IT室が学識経験者や関係企業・団体を集めてシェアリングエコノミー検討会議を開き、そこでとりまとめた「シェリングエコノミー推進プログラム」で、新たなテクノロジーを使い「安心・信頼」を担保する自主的ルールのモデルガイドラインをつくっています。そのガイドラインをもとに一般社団法人シェアリングエコノミー協会が、優良なプラットフォーマーを認定する仕組みを開始することになっています。その取り組みを無視して、従来型の規制で縛ることに違和感を感じるのです。

次は宿泊先を提供するホームステイ型の民泊についてです。宿泊先は大きく分けると2種類あり、家主不在方型といわれるものと家主がいるホームステイ型と言われるものです。そもそも民泊は、海外旅行者が日本らしさを体験するために日本人と交流が出来るホームステイ型が中心でした。ビジネスで忙しく世界を飛び回るには、世界的なホテルチェーンを使うことが多いでしょうが、世界中、標準化させれた高いサービスの提供はうけるものの、独自の文化をホテルで体験することは出来ません。

自分の住んでいる家の部屋の1室を貸すのに、事業者としての扱いを受けて登録・規制の対象となるのです。これは理解に苦しみます。貸せる日を180日以内、個人の家に民泊の看板を掲げて24時間連絡がつく電話番号を載せる。何故、商売として行うわけでもない海外交流にこんな規制を入れる必要があるのだろうか?旅館やホテルの商売敵になるから日数制限を入れる。夜中に騒いだりした時に連絡がつくように看板掲げて電話番号を記載する。子供たちが出ていってしまった部屋を利用して民泊を提供する老夫婦が、旅館やホテルの商売敵になるはずはない。一緒に住んでいるのだから、宿泊客が夜中に騒いだら自分も寝れないが故に、近隣から苦情が来る前に自分で注意するはずです。

こんな規制を受けてまで、民泊の本質である日本人の生活体験としてのホームステイ型をやり続ける人が増えるとは思えません。家主不在型とホームステイ型は、原案では同様の扱いになっていますが、ホームステイ型は規制から外すべきです。

自民党内の議論は、まだ続きますので、僕はこうした論点で議論に参加していきたいと思います。結果はどうなるかわかりませんが、党内議論が活発に行われることが大切です。

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