国会議員歳費の歴史
「消費税を引き上げるなら、先にやるべきことがある」という主張の先にある項目の1つは、国会議員歳費の削減だ。歳費が高すぎる、国民生活とかけ離れている、指摘はいろいろある。この問題は以前にも触れたが、本来、国会議員にどんな仕事をさせるのか、何人でさせるのか、その仕事に際して、どれだけのお金を払うのかという本質的な議論を行われなければ、感情論になってしまい、限りなくゼロに近ければ良いということになるであろう。
自民党の谷垣総裁が5月17日の記者会見でこんな発言をしている。
「この議論をする時は、歴史を考えて頂きたい。歳費が必要だと言う議論は、チャーチスト運動の中で生じました。それまでイギリスの議会は、ほとんど貴族とかジェントリー階級の人々、つまり資産・信用があり、無報酬でも国政に専心できる人しか政治には入れませんでした。それでは資産がない者が政治に参画出来ないと言うことで、運動が起こったわけです。当時と同じ事情とは思っていないが、多少の愛情を持って見てほしいと思います」
谷垣総裁のこの発言は示唆に富んでいると思う。親族の選挙区を受け継ぐ2世、有力政治家の選挙区を受け継ぐ1.5世、知名度が高くメディアに登場することが出来る有名人、身内に豊富な資金力を持つ資産家、つまり歳費が無くても、選挙を戦い抜くことが出来る候補者が議員になるという社会でいいのか、ということだ。人より良い生活がしたいとは思わない。政治家として、民意を掌握し、見て・聞いて・感じて、現実の社会を認識し、政策に反映し、選挙を戦う、その為の資金が必要なだけです。個人の政治献金という文化がない国で、政治家個人への企業団体献金が禁止され、更に歳費が減少すれば、単に活動費が減少する。何も持ち合わせていない議員は、歳費は政治活動費であり、個人の生活にはほとんど使えない。感情論でなく、消費税引き上げの理由ではなく、議員の役割を再定義して欲しい、と考えるのは、僕だけではないはずだ。
チャーチスト運動運動のさなか、1838年に英国で、「人民憲章」が発表された。
1.成年男子の普通選挙
2.秘密投票
3.毎年選ばれる1年任期の議会
4.議員に対する財産資格の廃止
5.議員への歳費支給
6.10年ごとの国勢調査により調整される平等選挙区
無償報酬とされていた時代から、普通選挙が一般化し、財力を持たない人が議員になれるように、という反省から、1911年イギリス下院において議員歳費が最初に定められたという。長い民主主義の歴史を踏まえて議論は行われるべきだと思う。その結果として、国会議員歳費が減額されることには賛成だ。
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